【実施の背景】

障がい・難病のある人の通院状況や、診察にまつわる困りごとについてのアンケートを実施。病院への要望を明らかにし、障がい者のニーズを探ることを目的とした調査。

【調査対象者】

全国の「Co-Co Life☆女子部」サポーターおよび読者

【調査方法】

インターネット調査

【調査期間】

2022年7月29日~8月12日

有効回答者数:59名

【調査結果サマリー】

✓月1回以上、通院をしている人が7割近い。

✓診察時、医師は話をじっくり聞いてくれると回答したのは9割。

✓病院内で障がいが理由で嫌な経験をしたことがある人は5割強。

 

【通院】

通院の間隔

通院 間隔

通院時に補助具は使用しているか(複数回答)

病院 補助具

通院にかかる時間

通院手段(複数回答)

通院手段

病院に付き添う人の有無

病院 付き添い

付き添いを誰に頼んでいるか(複数回答)

病院の付添人

通院の困りごとについて

通院 困りごと

待ち時間について

待合室にあるとよいもの・欲しいもの

  • 番号で呼び出しするようなパネル
  • 横になれる長椅子
  • 車椅子でも届くウォーターサーバー・自販機
  • 座りやすい椅子
  • 車いす用の待合スペース
  • 無料Wi-Fi
  • 肌・血流・骨密度・水分量など、健康状態が分かる測定器
  • 補助テレビ

 

【院内感染】

通院または入院していて、院内感染の怖さを感じたことはあるか

病院 院内感染

感染症対策で心がけているもの(複数回答)

病院 感染対策

✅その他の感染症対策

  • 診察の順番がくるまで人の少ない場所で待機をしている。
  • 体調が優れないときは受診日を変更している。
  • 問診以外はできるだけ会話を避ける。
  • コロナ禍になってから通院回数を減らしている。
  • 飲み物は人が少ないところで飲むようにしている。
  • 鼻呼吸を心掛ける。
  • マスクを二重にしている。
  • ドアノブなど、いろいろな所を触らない。
  • ワクチン接種。

 

【診察】

診察は男性医師と女性医師どちらがいい?

病院 医師

医師はじっくりと話を聞いてくれるか?

病院 対話

✅不明な点は医師に聞くことができるか?

  • 質問するのは勇気がいる。
  • 質問や困りごとを上手く伝えられない。
  • 聞きたいことをメモしていかないと忘れてしまう。
  • 話しやすかった医師が異動してしまい、困ることがある。

病院内で障がいや難病によって嫌な経験をしたことがあるか

  • 精神的なもので片付けられた事があり、病院をたらい回しにされた。(線維筋痛症、鬱、両下肢障がい・両上肢軽度障がい)
  • 会計待ちのとき、車いすで待っているスペースがない。(頸椎後縦靭帯骨化症、術後頚髄損傷)
  • 先生の知識不足。知らないことが多く、用語や意味を説明する時間がもったいなかった。(IBS、強迫性障がい)
  • 難病の告知がきっかけで精神的なバランスを崩し、精神科に通っていた時に難病医療証をみせると「脊髄小脳変性症で精神科の症状が出るわけない」と言われ、悲しくなった。(脊髄小脳変性症、慢性疼痛、不眠症)
  • こっちの意見に耳をかさず、一方的に治療を中止された。(慢性炎症性脱髄性多発神経炎)
  • 痛みがある障がいなのに、説明しても触診で触れられたので数分動けなかった。(右下肢複合性局所疼痛症候群)
  • 電話で問い合わせたときにろう者であることを伝えたら断られた。(聴覚障がい者)

 

【その他】

病院に改善して欲しい点(複数回答)

病院 要望 

診察時のよかったエピソード

  • 急遽診察をお願いした耳鼻科は、先生がスマホを取り出し文章を打ち込んで見せてくれました。なかなかそういう先生がいらっしゃらないので、感激しました。(聴覚障がい)
  • 入院のときに担当だった看護師さんが、退院後も常にフォローし続けてくれました。入院中と変わらず真剣に向き合い続け、叱咤激励してくれました。(右下肢複合性局所疼痛症候群)
  • 私が体調を崩したときに、顔見知りの看護師さんが、私の家族のことも心配してくださったこと。(二分脊椎症)
  • 子どもの頃から通っている病院に大人になってから行っても、親しみを感じる呼び名で呼んでくれたり、ずっと気にかけてもらえたりして、第2のふるさとのようなあたたかい気持ちになります。(脊髄腫瘍)
  • 入院中に仲良くなった看護師さんや看護助手さん達が覚えてくれていて必ず声をかけてくれる。(頸椎後縦靭帯骨化症)

 

【Co-Co Life調査部 松本純(調査員)の分析】

プロフィール

Co-Co  Life読者の病院通いの回数は、最も多い答えが「月1回」。月2回以上の人を含めると、7割近くの人が毎月1回以上通院している。国民全体では、病院に行く頻度は20代で年6~7回、30代で8~9回が平均。年齢が上がるにつれ病院に行く回数は増える傾向がある。Co-Co Lifeメイン読者層(20-30代)の通院回数は50代の国民の平均と同じ水準。参考:厚生労働省「医療保険に関する基礎資料」(2016年)

通院手段については、「自家用車」と答えた人が最も多く、次いで「公共交通機関」。「人混みが苦手」と答えた人も一定数いたので、通院に自家用車を使用する人が多い理由だと推察される。

「できれば」を含めると、半数以上の人が通院に付き添いを必要としているため、「誰に頼むか」という悩みがある。“往復+待ち時間”の拘束時間の長さを考えると「家族」しか付き添いを頼める人がいないのが実情。病院の付き添いに「公的支援」や「民間のサービス」を利用した人は、どちらも1割弱にとどまった。

「医師はじっくり話をきいてくれるか」という質問に「はい」と答えた人は9割近く。「分からないことがあれば、何でも質問できる」と答えた人も半数以上。ただし、医師の対応に問題はなくても「困りごとを上手く伝えられない」悩みを持つ障がい者も一定数存在する。精神・発達障がいや知的障がい、聴覚障がいなど、会話でのやり取りに不自由さを感じる特性を持つ人に多い。

また、約半数の人が「障がいを理由に病院でイヤな思いをした」経験がある。障がいに対する無理解と偏見による言動に苦しむ人は、令和の時代になっても後を絶たない。中には、適切な治療を受けられなかったり、ストーカー被害に遭ったりするなど、深刻なケースも見られた。

男性医師・女性医師どちらを希望するかについては「どちらでもよい」と答えた人が7割近く。医師の性別よりも、障がい者を理解し、寄り添う姿勢の方が重要視されているといえる。

障がい区分によって優位差があったのは「バリアフリー」対策。バリアフリーの充実は、身体・知的障がい者からの要望が高かった。精神・発達障がい者は、バリアフリーに対する関心は薄いようだ。

月1回以上、何かしらの理由で病院に行く人が多いCo-Co Lifeの読者。通院の頻度が高い分、障がい者にとって身近な存在の一つでもある病院。それだけに、良くも悪くも障がい者に対するさまざまな言動を目の当たりにする。障がい者に対する無理解と偏見に傷つくこともあれば、周囲の温かい対応に励まされることもあるようだ。