【実施の背景】

気候変動の影響か、過去に経験したことがない災害が発生する昨今。そんななか、障がい当事者は「災害弱者」と呼ばれています。障がい当事者の「防災」に対する意識を調査しました。

 【調査対象者】

全国の「Co-Co Life☆女子部」サポーターおよび読者

 【調査方法】

インターネットアンケート調査

 【調査期間】

2025年12月1日~7日
有効回答者数:51名

 【調査結果サマリー】

  • 災害被害を経験している障がい当時は:33.3%
  • 防災訓練に参加していない:64..7%
  • 住まいの地域の避難所を把握している:82.4%
  • 災害発生時避難所へ避難する:9.8%
  • 障がい当事者は避難所を避難しないしできない

※グラフのテキストが一部切れているところがあります

調査回答者属性

◼︎年代

◼︎使用補助具

◼︎日ごろの居住状況

◼︎障がい内容

身体障がいから、精神・知的障がいまで、さまざまな障がい・難病の方に回答いただきました。

災害に関する意識

◼︎あなたは災害に不安を感じていますか?

◼︎あなたが不安に思う災害について、あてはまるものをすべてお知らせください

◼︎ああなたは災害によって何を失うことに不安を感じていますか。あてはまるものをすべてお知らせください

◼︎今までに地震台風等で被害を受けたことがありますか?

◼︎被害を受けたことがある方、どんな被害だったのかと、その時どんな気持ちだったかを教えてください

  • 北海道大震災で停電。水が止まったので六階まで持ち運び。いろいろと助け合いは起こった(30代・ASD)
  • 阪神・淡路大震災、東日本大震災 避難訓練の役にたたなさと、自分への性暴力の危機感と、命を守ることへの諦め(50代・聴覚障害)
  • 建物や棚が倒れて、外傷をおった。(40代・左下肢の著しい障害)
  • 東海豪雨で車で父を迎えに行った際、豪雨で動かなくなった車が浮かぶ夜道を走るのが怖かったです。また、橋を渡った直後、その橋が決壊し後ろの車が川に流れていく姿は今も忘れられません。豪雨の際は川に近づかないこと、避難すること、ネットだけでなくラジオで最新情報を手に入れる大切さを痛感しました。(40代・線維筋痛症、筋痛性脳脊髄炎、自己免疫疾患)
  • 公共交通機関が動かなくなり、学校で安全確認のために何時間も外で待機することになり、帰宅困難にもなりました。住んでいた家のドアが歪んで開かなっていました。(40代・視野狭窄)
  • 停電、日用品の調達が困難であったことです。とても不安でした。(30代・重等症のうつ病、広汎性発達障害)
  • 自宅から川が近く、大雨で氾濫の危険性があると報じられました。近くの小学校に避難所が開設されたのですが、多くの人の中では安心できないと思い、近くのホテルに家族と避難しました。個室ではない場所で知らない人と生活するのは、私の障害特性上難しいと感じました。パニックになってしまったり、過呼吸発作が出てしまう可能性があると思いました。(30代・統合失調症)
  • 色んなものが大型台風で飛ばされた。いつどんな災害が自分の身に起こるか、、、という恐怖心。(40代・ASD)
  • 東日本大震災でガスが1か月くらい使えず不便を感じた(40代・右下肢内反足)
  • 幼稚園に3ヶ月通えなかった。水、電気が停まり、計画停電だった。マンションでは暮らせなくて親戚の戸建てに避難した。家族がバラバラで心配の毎日だった。(10代・ダウン症)
  • 地震で停電被害にあった。突然のことでどうしたらいあの分からず、自分は何もできないまま不安な時間を過ごした。(20代・顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー)
  • 東日本大震災で家財の一部に損害が出た(40代・脊椎関節炎/上肢下肢機能障害)
  • 東海豪雨で近くの学校へ避難。指示や勧告がいつ出るのか、先が見えない事への恐怖を感じながら避難準備をしていた。(40代・下肢機能全廃)
  • 東日本大震災で被災しました。当時は大学生として大学にいましたが、震度5以上の揺れで大学の壁などにひびが入るのを目の前でみながら、耐震強度の強い別施設へと避難して一夜を明かしました。ケガこそなかったものの、眠れない夜を過ごしていました(30代・両下肢機能障害/脊髄小脳変性症)
  • 当時、東北(山形県上山市蔵王山)の更生施設に入寮してて、東日本大震災で震度5強の地震に遭った。全てのライフラインが使えなくなり、頭と気持ちもパニックになった。(40代・自閉症スペクトラム)

◼︎日ごろ住まいの地域の防災訓練に参加していますか?

◼︎お住まいの地域の避難所を把握していますか?

◼︎地域の避難所を利用するにあたり、移動や施設利用に何かハードルがありますか?

  • 性犯罪被害に遭いそうなので基本は自宅避難希望(30代・ASD)
  • 補聴器を失くせない、雨に濡れたら壊れてしまうので避難所で情報が集められない、人が怖いので頼れない(50代・聴覚障害)
  • 普通でも歩くのが大変なのに、避難所まで行くなんて無理だと思います。(40代・左下肢の著しい障害)
  • 新しい2階建ての建物なのですが、エレベーターや昇降機がなく車椅子の私は2階に上がれません。また一階には避難所がないためどうしようか悩んでいます。(40代・線維筋痛症、筋痛性脳脊髄炎、自己免疫疾患)
  • 避難所が老朽化し過ぎており、しかも低地なので避難所としてふさわしくない。(40代・精神疾患)
  • 歩行障害があるため、移動できるか不安。(40代・重症筋無力症)
  • 距離が遠く自動車を使わないとと非難できない(30代・線維筋痛症、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群)
  • 右距離が遠く自動車を使わないとと非難できない(60代以上・右上肢機能障害、両下肢機能障害、心臓機能障害)
  • マンションなのでエレベーターが使えないと困ってしまう(20代・エーラスダンロス症候群)
  • 人が多い場所ではパニックになってしまったり、避難で見通しが立たないことに対して、とても不安を感じます。体調を崩してしまう可能性もあると思います。(30代・統合失調症)
  • 移動時は足元が不安定な場所は不安があります。施設でのハードルは、椅子なしでの立ち座りが出来ないので、床での生活は出来ない可能性が高いと予想します。(40代・膠原病)
  • 最寄りの避難所がバリアフリーではないが、福祉避難所まで行くことができるかわからない(30代・四肢体幹機能障害)
  • 公民館は出入口の段差が大きく行けません。近隣の学校もエレベーターがないかもしれず、ほぼ自宅にいるしかないと思います。(40代・脳性麻痺)
  • 避難所に車椅子で入れても、トイレなど自力で移乗ができないので、介助してもらえるかどうかわからない。(30代・線維筋痛症 筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群)
  • 車椅子利用者であり、現在子育て中なので子供と安全に利用できるのか?という、情報がないこと(40代・脳性麻痺)
  • エアマットレス、ポータブルトイレなどが揃っていない環境には避難できないと思う。(40代・四肢機能全廃/ミオパチー)
  • 化学物質過敏症とアレルギーがあり、避難所では生活できないと思う。またマンションの10階に住んでおり、地震の際にはエレベーターが停止するので、避難できないと思う。(40代・脊椎関節炎/上肢下肢機能障害)
  • 車いす使用のため、道路の断裂や施設への出入り、お手洗いの問題など。(40代・下肢機能全廃)
  • 被災直後の混乱のなかで、窃盗などの犯罪被害に遭わないか(30代・両下肢機能障害/脊髄小脳変性症)
  • ペットがいるため避難所へは行かないと思う。自宅が倒壊したら利用させてもらおうと思うが、仮設トイレを使用できるかが分からないので不安。毎日頭痛がある為、大きな声や子どもの声で更に悪化するのが不安。(30代・線維筋痛症、脳脊髄液減少症、筋痛性脳脊髄炎、強迫性障害)
  • 介護ベッドからの移動が、ケア(蘇生バックのもめる)のできる大人が二人いないと移れず、避難へのハードルが高い。(10代・脊髄性筋萎縮症1型)
  • 車椅子利用可の避難所を調べてるためおそらく問題ない(30代・肢体不自由)
  • 自分が住んでいる地域は、住宅街で人口が多い為、災害時は皆が殺到して避難所に全員が入りきれるかが心配。(40代・自閉症スペクトラム)

◼︎「「防災グッズとしてすぐに持ち出せる」ようにしているものはありますか?あてはまるものをすべてお知らせください

◼︎災害発生時の対応について、家族間で話し合っていることについて、あてはまるものをすべてお知らせください

◼︎災害発生時、「自宅での避難」にするか「避難所に避難」かについて考えていることについて、あてはまるものをすべてお知らせください

◼︎避難にあたり支援を依頼できる人はいますか?

◼︎避難支援をお願いできる方はどんな方か教えてください

まとめ質問

◼︎災害対応に関して、日ごろ感じていること、困っていることがあったら教えてください

  • 二度震災を経験して、避難所での情報保証のなさと、女性への性被害が多々あることに危機感と嫌悪感を持っています。助かりたいとは考えず、自宅で命を終えたいです。(50代・聴覚障害)
  • サバイバルに強くなる。足が悪くても、その場所で生きていける技を身に付ける。障害者の人に避難所に行ってくれと言うのは無理。行政でもっと考えて欲しい。(40代・左下肢の著しい障害)
  • 私の住んでいる場所では、災害時に自治会長たちが障害者や動けない高齢者の元へ行くことが決まっています。ですが家族が世間体から勝手に拒否申請してしまい、トラブル中です。(40代・線維筋痛症、筋痛性脳脊髄炎、自己免疫疾患)
  • 精神疾患の薬は、あらゆる病気の中でも、供給が後回しにされがちだと感じる。透析や高血圧患者などは優先的に配慮されるが、精神疾患の患者のサポートなんて、ほぼ見たことがない。精神薬が切れると、凄まじい離脱症状が出るが、避難所に精神薬が来るとは思えない。救急医も、精神薬には詳しくないし、精神科医が直ちに派遣されるパターンは少ないと思う。(40代・精神疾患)
  • 少しでも動かないで生活出来る備蓄品(40代・脊髄損傷)
  • 暑さで体調が悪化してしまうため、夏の暑い時期に空調が止まってしまうことが不安。(40代・重症筋無力症)
  • 避難所を利用する場合に当地では自分の水や食料を持ち込むことになっている。自力で運搬は無理があるので、災害発生時初期の利用はあり得ないと思う。(60代以上・線右上肢機能障害、両下肢機能障害、心臓機能障害)
  • 薬がとても大切で必要なので、どうしようとよく思います。(20代・エーラスダンロス症候群)
  • 地域の避難訓練が開催されているのか情報がなく、訓練に参加できないこと。避難所でのストレスによって体調が悪化してしまうかもしれないという不安があります。(30代・統合失調症)
  • 病避難所での生活は難しいと予想して、自分で生き延びる為の準備をする必要性を感じていますが、災害時に自宅が避難出来る状態か、自分や家族の健康状態はどうかなど、不安はあります。(40代・膠原病)
  • 障害がある人が訓練に参加していないこと(20代・肢体不自由、発達障害、精神障害)
  • 避難場所での集団行動など,周囲の緊急度が高まっている余裕がない状況では、私自身がパニックを起こしてしまうだろう。不安があります。周囲の理解やサポートが必要。(40代・抗NMDA受容体抗体脳炎、抗MOG抗体関連疾患、高次脳機能障害)
  • 役所からのアンケートで災害時の対応について聞かれることはありましたが、その後の対応が何もありません。結局は真剣に対応する気がないのでは?と期待せずにいます。ご近所さんも高齢者であり、いざとなったら不安しかありません。環境が変わると排泄を催さなくなる体質なので、特養などに避難となってもどれくらい馴染めるか不安ですね。(40代・脳性麻痺)
  • 1日のほとんどをベットの上で過ごしている為、災害が起きた時にすぐに避難することができない。1人で車椅子に移ることができないので、抱えてもらっている間に家族も逃げ遅れる可能性がある。もしもの時には、私はいいからすぐに逃げてと伝えている。(30代・線維筋痛症 筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群)
  • 防災士になりたいのでどうすればなれるか教えて欲しい。(10代・ダウン症)
  • 支援や避難、災害時対策など情報がないことが一番困ります。(40代・脳性麻痺)
  • 避難所の障害者への対応がどのように考えられているか不安(50代・頸髄損傷)
  • ひとり暮らしで狭いワンルームに住んでいるので、水や食料などの置き場がほとんどない。(40代・うつ病・発達障害(ASD))
  • 突然災害が起きたとき、避難を支援してくれる人がいたとしてもその人が対応できなくなったとき、別の方法や他の頼れる人を探しておくことも必要だけど、なかなか難しそうだと感じる。(20代・顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー)
  • 全介助のため、避難所での待機・生活は困難と思っている。建物倒壊しない限り自宅にとどまるのが一番トラブルを回避できそう。重度身体障害者施設か病院なら安心して行けるが、災害時に受け入れてもらえないと思う。(40代・四肢機能全廃/ミオパチー)
  • 大規模な災害になったとしても自宅避難しか選択肢は無いと思っている。長期間になるとトイレが困りそう。(40代・脊椎関節炎/上肢下肢機能障害)
  • 自分のこともそうだが、小さい子供がいるのでどのようにサポートできるか不安です。(40代・大腿切断)
  • 私の地域は土地が低いので水害の可能性がある。事前の状況判断が大事になってくるが、防災グッズの準備も含め備えが整っていないので、少し焦る気持ちがある。(40代・下肢機能全廃)
  • 心身に複数の持病を抱えながら働く身で日々の生活に精一杯ですが、災害対策含めた「もしも」のときにすぐ役に立つ持ち物や相談先を定期的に発信していただけるとありがたいです。(30代・両下肢機能障害/脊髄小脳変性症)
  • 常用薬を切らしてしまうと、全身の痛みで動けなくなる事が1番の不安。少し多めには処方してもらっているがMAX4週間分程度しかない。災害時に入手出来るとも思えない。夫と二人暮らしの為、夫が仕事で留守の時に災害が起きるのが不安。災害に限らず最愛の夫がいなくなったら、精神的ににも金銭的にも体力的にも1人では生きていけないなと考えてしまう。自宅避難の場合に食料や物資を届けてもらえるかが不安。(30代・線維筋痛症、脳脊髄液減少症、筋痛性脳脊髄炎、強迫性障害)
  • 自宅を離れての避難を最優先とは考えていない。福祉避難場所が開設しても、必要なケアが受けれるとも限らず、状況をきちんと把握して移動すべきか判断しなくてはならない。(10代・脊髄性筋萎縮症1型)
  • 日ごろから自分達で災害に備えて対策しておくが大事だと思った。(40代・自閉症スペクトラム)

障がい当事者の「防災」に関するCo-Co Life調査部・遠藤久憲の見解分析

代表理事遠藤久憲のポートレート
Co-Co Life調査部 調査員 遠藤久憲

災害に不安を感じている障がい当事者は92.2%

災害時に「災害弱者」となる傾向の障がい当事者。
今回の調査では実際の災害経験者は3割だったが、経験者のコメントを見ると「全てのライフラインが使えなくなり、頭と気持ちもパニックになった」など切実な実態が垣間見られる。
そんな災害に対する不安は「とても不安」と「やや不安」を合わせると92.2%で、障がい当事者は災害に対して高い不安感を感じている結果となった。

現実的でない障がい当事者の避難所避難

今回の調査で一番の課題となったのは「障がい当事者の避難所への避難」。
アンケート結果でも避難所への避難にはついては、「介護ベッドからの移動が、ケア(蘇生バックのもめる)のできる大人が二人いないと移れず、避難へのハードルが高い」というコメントに代表されるように懐疑的な意見が多かった。
災害発生時に避難所へ避難するかという質問に対して、避難所へ行くの回答は9.8%にすぎず、9割以上が災害発生すぐは避難所には行かないと回答している。障がい当事者は災害時避難所へ行かない=これが現実。
避難所へ行かない行けない問題に関しては、今回のアンケート前から把握していた。2025年11月に公開したCo-Co Life☆女子部の記事『避難所に行けない私たちー防災専門家と被災女性の声「自分の命は自分で守る」』で危機管理アドバイザーの国崎信江さんが指摘していた。

垂直避難への備えとコミュニティ参加

今回のアンケートでも明確になった通り、障がい当事者の避難所避難は現実的でない。
そうなると、垂直避難(自宅避難)でしのぐことが現実的選択となる。そのためには、しっかりした備蓄。家屋の耐震補強などが必要になるだろう。今回のアンケート結果では、障がい当事者はしっかりと備えている部分もみうけられるが、今一度、自宅で3日間しのぐことをイメージして備えてほしい。
もう一つ大切なののが、地域でのつながり。災害初期では我が身優先でも、その後で「障がいのあるあの人はどうなった」と思ってもらうつながりが大切。自分の備蓄では限界があるし、地域の人で交わることで情報収集ができるから。
垂直避難への備えと地域コミュニティへの参加の重要性を再認識させられる今回の調査であった。

行政への提言:災害弱者の避難所利用を具体的にイメージして施策を

障がい当事者が何とか3日関しのぐのはいわゆる「自助」。地域コミュニティへの参加は「共助」。では「公助」はどうか?これについては、後手と言わざるを得ない。
障がい当事者は「避難所に行けない」と思っている。誰ひとり取り残さないを目指すなら、もっと踏み込んだ施策が必要であろう。
特に障がい当事者や介護施設利用者の災害弱者が避難所を利用するとしたら、
・避難所へ入るためのルートをどう確保する?(移動アテンドのリソース含め)
・人の手を借りないと過ごせない災害弱者のサポートをする人は誰?
・常備薬の継続接種や医療資源の避難所への投入
・プライバシー含め避難所生活での安全確保
課題は多々あるし、簡単ではないと思う。特に人材部分が。これに関しては、避難している人が災害弱者をサポートするような新しい発想も必要なのでは。

障がい当事者はじめ災害弱者には「自助」「共助」「公助」のプランを、健常者のそれとは違う視点で組み立てる必要がある。本調査がそのきっかけになると幸いである。

 

▼『避難所に行けない私たちー防災専門家と被災女性の声「自分の命は自分で守る」』